肝臓内科とは

肝臓のはたらきと重要性
肝臓は、私たちが健康に生きていくために欠かせない、極めて重要な臓器のひとつです。お腹の右上、肋骨の内側に位置し、成人では1kg以上の重さがあり、体重の約50分の1を占めるほどの存在感があります。
この肝臓は、栄養素や体内に取り込まれたさまざまな物質を化学的に変換・分解し、エネルギーに変えたり、毒素を無害化したりするなど、500以上の代謝機能を担っています。毎日数千の酵素が働くこの臓器は、まさに体内の“化学工場”。肝臓が健やかに機能していることは、全身の健康を支える土台でもあるのです。
肝臓の主な役割
胆汁を作る
胆汁は、脂肪の消化に必要な黄緑色の液体で、肝臓から常に分泌されています。
肝細胞は、脾臓から運ばれるビリルビンを水に溶けやすい形に変え、老廃物の排出にも関与しています。
栄養分の代謝と貯蔵
栄養素を体に必要な形に変え、エネルギーとして使ったり蓄えたりします。
有害物質の解毒
肝臓は体にとって重要な解毒器官であり、アルコールやニコチンなどの有害物質を無害な形に分解します。
肝臓内科を受診するタイミング
肝臓は自覚症状が出にくいため、次のような異変がある場合は早めの受診をおすすめします。
検査で異常が見つかった方
- 健康診断で肝機能の数値(AST、ALT、γ-GTP)に異常がある
- 血小板の数が基準値よりも少ない
- 肝炎ウイルス検査で陽性反応が出た(献血・検診時など)
生活習慣に心配がある方
- 日常的に飲酒量が多い方
- 急激な体重増加や肥満がある方
- 糖尿病や脂質異常症など複数の生活習慣病がある方
以下の症状がある方
- 原因不明の疲労感や食欲不振がある
- 皮膚や白目の黄ばみ(黄疸)がある
- 全身にかゆみがある
- 灰白色の便が出る。または濃い色の尿が出る
- お腹が張って手足が痩せている
その他
- 肺炎ウイルスに感染しているご家族がいる
- 過去に肝臓の病気を指摘されたことがある
肝臓内科で扱う主な疾患
肝炎・肝硬変・肝臓がんなど、肝臓疾患の多くは初期に自覚症状がありません。糖質や脂質、アルコールの過剰摂取、ウイルス感染が主な原因とされ、健康診断で異常を指摘されて気づくことも少なくありません。肝機能に異常が見られた際は、早めに肝臓専門医を受診しましょう。
ウイルス性肝炎
肝炎は、肝臓に炎症が起きる病気で、発熱や黄疸、強い倦怠感などの症状が現れます。日本人の肝炎の多くはウイルス性で、A型・B型・C型・E型のほか、EBウイルスやサイトメガロウイルスなどが原因です。感染経路は経口、血液、性的接触など多岐にわたります。ウイルス性肝炎が進行すると、肝硬変や肝がんを引き起こすこともあるため、早期の検査と治療が重要です。
アルコール関連肝疾患
アルコール性肝障害は、長年の過剰な飲酒によって引き起こされる疾患です。摂取されたアルコールは肝臓で分解される際、有害なアセトアルデヒドを生成します。通常、肝臓はこの物質を無害化しますが、過度な飲酒が続くと分解酵素が恒常的に働き、肝機能が低下、アセトアルデヒドの処理が滞ります。
これにより、肝細胞の変性・壊死や線維化が進行し、炎症や脂肪沈着も発生、肝機能は徐々に悪化します。この状態が進行すると、肝硬変や肝がんといった深刻な病態に至る可能性があります。
肝硬変
肝硬変は、長期間の肝臓へのダメージにより組織が硬化し、機能が低下する病態です。ウイルス性肝炎、アルコール、非アルコール性脂肪肝炎の未治療は進行リスクを高めます。
初期には食欲不振や疲労感、進行すると黄疸、腹水、吐血、意識障害などが現れます。診断には血液検査や画像診断を用います。
肝硬変は一度発症すると完全に回復しないため、早期の進行予防が極めて重要です。
肝臓がん
肝臓がんは日本の死因第5位を占める重要な病気で、原発性肝がんと転移性肝がんに分けられます。早期発見・治療が鍵となります。原発性肝がんで最も多いのは肝細胞がんで、肝硬変やB型・C型肝炎、糖尿病、MASHがリスク因子です。治療法には手術やラジオ波焼灼術、カテーテル検査、免疫療法などがあります。転移性肝がんは他の臓器がんから肝臓に転移し、主に全身化学療法治療が行われますが、状況により手術も選択肢となります。
脂肪肝
肝臓の3割以上が脂肪で占められた脂肪肝は、日本人男性の約4割にみられます。肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症と深く関連し、近年MASLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)という新名称が用いられています。
放置すると肝炎や肝硬変、肝がんに進行する恐れがあり、早期発見・治療が重要です。痩せ型でも発症するため油断できません。
当クリニックでは血液検査に加え、最新機器による超音波検査で肝臓を評価し、専門的な検査・治療を提供します。生活習慣病への適切な治療薬選択も肝臓に良い影響をもたらします。
当院の肝臓内科で行う検査と診断
血液検査
血液検査では、AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビンなどの値を測定し、肝臓の状態を確認します。これらの数値に異常が見られると、肝炎や脂肪肝、肝硬変などの兆候を早期に発見する手がかりとなります。
精密検査が必要な場合
必要に応じて、より詳細な診断を行うため、CTやMRIを使用した精密検査を適切な医療機関と連携してご案内いたします。患者様一人ひとりに合わせた検査・診断を行い、安心して治療を進めていただけるようサポートいたします。
「肝臓内科」と聞いても、あまり馴染みがないと感じる方も多いかもしれません。実際には、肝臓内科は消化器内科の一分野であり、胃腸や膵臓、胆のうなどと同様にお腹の臓器を専門に診る診療科です。
近年では、より専門的な診療を提供するため、消化器内科の中でも「胃腸」「肝臓」などに分けて診る医療機関が増えてきました。これは、患者様にとって分かりやすく、より的確な医療を受けていただくための工夫でもあります。